盗まれた秘宝の謎を追え!
プロローグ 盗み出された秘宝
とある町に住んでいる彼女は、高校生で探偵だった。皆には内緒で活動している彼女は、『謎の探偵』と呼ばれる彼女の正体を知るものは、警察と家族、そして、とある少女だけだという。

「……つっかれた~!」

学校帰りに事件を今日も解決した芦川 文月(あしかわ ふづき)は、カバンを机の上に放り投げるとベッドに倒れ込んだ。

彼女こそが、謎の探偵だ。名前や顔を知られたくないため、秘密裏に活動している。テレビや新聞では、報道しないように文月は頼み込んだのだ。

「ふぅ……」

ため息をついた文月は、ベッドから起き上がると宿題に取り掛かった。



次の日、文月がいつも通りに学校に行くと文月の友達、白井 美由紀(しらい みゆき)が文月に話しかけた。

「文月!また、謎の探偵が事件を解決したね」

美由紀は、スマホを文月に見せながら言う。そこには、昨日文月が解決した事件がでかでかと乗っていた。

「……そうね……私もこんなに注目されたいわ……」

文月は、嘘をつくことに罪悪感を覚えながら言う。

「でも、文月なら賢いし探偵になれるかもね!」

文月の肩を叩きながら美由紀は破顔一笑した。

「そ、そうかしら……?」

「なれるなれる!」

美由紀の言葉に、文月は苦笑を浮かべることしか出来なかった。
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