かわいいふたりの暴き合い





家に帰ってあのメモを開くとそこにはやっぱり「貴女が好きです。」の文字がある






「……すき」





だめだ。口に出すと余計に拗れる。

どうやらあの学校に私を恋愛感情で好きな人がいるらしい。どうにも信じれない。






「でも、もう三枚も貰うと
…信じるしかないかな」





机に同じメモ用紙を三枚置く。どの用紙にも「貴女が好きです。」と書いてあった

数十分、じーっと三枚のメモを見てみるとある変化に私は気がついた。隣にあるメモと比べてみると分かりにくいけれど確かに違うのが分かる。






「…薄くなってる?……何かここに書いてあった跡がほんの少しだけ残ってるや」





分かりずらいのを少しでも緩和する為、私は優しく鉛筆でその部分を擦った。

浮き出てきたヒントを読み取ろうと私は目を凝らす。






「名前…書けなくて、ごめんなさい?」






小さく隅に書いてある謝罪の言葉。それを読んだ後私はメモを綺麗に元の場所へと戻す






「名前が書いてあるかと思ったのにな」





私を好きな人は一体誰なんだろう。薄桃色のメモとあの綺麗で可愛さもある文字…まさか女子なんてことも

いや、それは無い。そもそも私は女子にモテるようなイケメン女子では無いし、むしろ嫌われる対象となってもおかしくないくらい私は大人しい。






現実の恋が案外綺麗なものばかりじゃないと知った私はこんな小説のような、漫画のような告白をされている。


それが私の今の悩みだ。






勉強そこそこ、運動だめだめの私を好いてくれる人がいる。






「……はぁ」






その事実は温かくて体に染み渡るようにゆっくりと広がっていった。






「…会ってみたいなぁ」





このメモに気を取られる。誰が書いているかも分からないのに何故だか無性にこのメモを書いた人に会いたくなった。






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