溺愛ホリック
そもそも、一条先輩のこと好きになるなんておこがましかったんだ。



なにも変わらない。



一条先輩と出会う前の私に戻っただけ。



少し気持ちを落ち着けてから教室に戻ろうと思って、人気のない廊下の隅に座り込んだ。



そしたら誰か来た·····。



「潤美?何してるんだよこんなとこで」

「あ、お兄ちゃん·····」

「小鳥遊先生な。てか泣いてるし。コケた?どっか痛い?」

「心が、痛い·····うわーん!!」

「ちょちょ!潤美泣くな!俺が泣かせてるって思われる!」



世間体の心配なの?



最低、お兄ちゃん·····。



目から溢れてくる涙はとどまることを知らずに流れ続ける。



不覚にもお兄ちゃんによしよしされてて子供みたいだなぁ、私·····。



「保健室でしばらく休め。担任の先生にはうまく伝えといてやるから」

「職権濫用してない·····?」

「ははっ、気にすんな。妹のピンチだからな」

「お兄ちゃん、優しすぎてキモい·····」



今はその優しさに甘えよう·····。

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