溺愛ホリック
はぁ、なんだよ、この気持ち·····。



柚子にとっては良いことなはずなのに、なぜか素直に喜べない俺。



そんなモヤモヤはなかなか取れなくて。



しっかりしてきた柚子を見ると、俺の中に空虚感とか虚無感が生まれる·····。



「柚子が構ってくんねぇ」

「寂しがりやかよ」

「なんで最近しっかりしようとしてんの？柚子は」

「俺が言った言葉、受け入れたんだな」

「何言った？」



どうやら暁が、強くなれなんて言ったせいで、しっかり者柚子ができあがったらしい·····。



余計なことすんな。



彼氏の立場がなにかわからなくなってくんだよ。



「弱いままなんて山下にとってもよくねぇだろ」

「俺が守ればいい」

「またあぁいう状況になった時に、お前はすぐに駆けつけられんの？」

「できるだけ早く向かう·····」

「現に、この前助けたのは俺だろ」



暁の言った通りだ。



俺がすぐに助けに入れる保証なんてどこにもない。

< 56 / 178 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop