溺愛ホリック
柚子を守れるのは俺じゃなくて、柚子自身·····。



「あっ、豹くんっ!」



そんな時、校舎の中から俺を呼ぶ声がして振り向くと、飛びっきりの笑顔の柚子がいた。



柚子ってこんなに笑ったか?



その笑顔を引き出したのは、紛れもない、暁だ。



「柚子、こっち来て」

「え、豹くん!?」



このままじゃ終われねぇ。



柚子を動かしたのが暁なんて、彼氏の俺は黙ってるだけでいいのかよ。



柚子を連れてやって来たのは放送室。



校内放送にして、俺は息を吸い込んだ。



「山下柚子は、小田桐豹の彼女だから!柚子に手ぇ出したやつは許さねぇ!」

「ちょっ、豹くん!?」



スッキリしたら、久しぶりに柚子を抱きしめた。



困惑してる柚子。



なぁ、俺のお願い聞いてくれね?



「豹くん、どうしたの?みんなに知られちゃうよ?」

「いい。柚子は俺のだから」

「ほんとにどうしたの?豹くん、何かあった?」

「柚子、そんなに強くなんないで」

「えっ?」

「もう少し、俺に守られて?」



あんまり大人びないでください·····。

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