悔しいけど好き
あ~、う~ん…と腕を組み考え込んでしまった鷹臣にふっとため息を付く。
たいした理由もないんだろう。
ただ一番近くにいたのが私だったというだけかもしれない。

「いい、聞いた私が馬鹿だった…」

「最初から…かな」

「ん?」

「初めて会った時から気になってた」

「え?」

目を宙に浮かせ思い出しながら言う鷹臣を凝視する。
はじめて鷹臣と会ったのは入社式。
とはいっても話したわけでもなく、その後の研修でも違うグループだったから存在は知ってても話したことはない。
その頃から鷹臣はかっこよくて優秀で注目の的だったけど私は目立つことも無く大勢の新入社員の中に埋もれてるような存在だった。
切っ掛けがイマイチ分からないな?

「初めてって、何時よ?」

「会社説明会の時、ほら、俺らが大学2年の時うちの会社内でやったやつ」

「えっ!?…そんな前から?」

まさかの話に目を丸くする。
就職先を決めるのに何度も足を運んだ会社説明会。
大学2年の時に今の会社内での大々的な会社説明会に参加した。
その時説明会に出席したのは100名以上で誰がいたかなんて覚えてやしない。

< 118 / 325 >

この作品をシェア

pagetop