悔しいけど好き
慌てて付いていくと結城は既にワイシャツを脱いで上半身裸状態に思わずあられもない悲鳴をあげ後ろを向く。

「なんだよ、一緒に入りたいのか?」

「違うわよ!勝手にどこでもずかずか入んないでよ!」

「いいじゃん。俺毎日風呂入んないと済まないタイプなの。昨日誰かさんのせいで入れなかったんだからいいだろ?」

「ぐ…(こいつめ!イチイチ痛いところ突いてくる!)でも着替えも何もないわよ!」

「あーまあしゃーない。別に俺はノーパンでも気にしないし」

「ばか!気にしなさいよ!」

何でもないことのようにさらりと言ってのけるこいつはバカなの?
私の部屋でノーパンなんてこっちが気にするわ!
女の部屋にいるってことわかってる?
あ…、こいつ私のこと女と思ってないんだった。

後ろを向きながらぶつぶつと独り言を言っているとお腹をホールドされてぎゅっと抱き締められ肩に奴の顎が乗る。

「っ!?」

「なーに意識してんの?いやらしいことでも想像した?何なら見せてやってもいいけど?」

耳に吐息がかかり低い声が直接脳内へと響く。
背中に程好く筋肉の着いた胸が当たり温かさが染み渡る。
腕の力強さになす統べなく、言葉にならなくて口をパクパクさせながら硬直した。

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