悔しいけど好き
凪を起こし、挨拶もそこそこに奴を置いて部屋へと入るともう後は怒りと嫉妬が爆発した。
焦れて余裕のない俺は凪の言葉は耳に入らずに性急に体を求めた。
欲情と焦りで何をしているのか自分でも分からなくなるほどだ。
凪を繋ぎ留めておきたくて逃げる身体を抑え込みただただ欲望を叩きつける。

こんなに待ったのに、俺の手からすり抜けて奴の所に行くなんて、俺から離れるなんて許さない!

我を忘れて夢中になってると凪の手が俺の頬に触れた。
その優しい手つきに気付いて凪を見下すと、こんなに乱暴に襲ってるのに、凪は怖がることも無く幸せそうに微笑んでいた。

「鷹臣が好き。世界で一番愛してる」

「あ…凪…」

今、一番欲しかった言葉を凪は幸せそうに言ってくれた。
驚きと共に焦りや怒りが溶けるように消えていく。

信じていいのか?いや、…信じたい。
凪を愛しているから。

落ち付いて来た俺は愛しさを込めて凪にキスをする。

「凪…愛してる」

「うん…」

忘れていた幸福感と快感が蘇ってきて穏やかな欲情が込み上げてくる。
初めて見る幸せそうに蕩ける顔に俺の動きに合わせて感じてる凪が愛しくてたまらない。
抱きしめて俺の腕の中に恋い焦がれた凪がいるんだと改めて実感した。
こんな幸せ今まで感じたことが無かった。
世界で一番、凪を愛してる。

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