悔しいけど好き
翌日の出勤日

朝イチ会社で鷹臣と会ってつい恥じらいが出てしまう。
変らない鷹臣の笑顔に私だけがアタフタしてるようでなんか悔しい。
そして、速攻で私たちの事が皆にばれた。
「凪ちゃんの神城くんを見る目が違うから…」
遠慮がちに言う美玖さんに私はがっくりと項垂れる。
冷かされるのが嫌だから暫くは黙っていようと鷹臣と約束したのに自分から暴露してしまうことになるなんて!
「ま、俺は直ぐにでも凪は俺のもんだって言いふらしてやりたかったからいいけど」
と気にも留めずさっさと営業に出かけてしまう。
取り残された私はみんなの生暖かい目に晒されて肩身の狭い思いをする。
だから知られるのが嫌だったんだ~!
それでも特に質問攻めにされることも無く皆忙しそうに仕事をこなしている。
それだけが救いだ。
ま、心配するほど注目されることも無かったわけだ。

そして昼休憩。
総務の前で待ってた私を見つけた明莉が駆けてくる。

「凪!お待たせ!」

「明莉…」

明莉を見た途端に涙が出てきてグスッと鼻をすする。

「え?なに?どうしたの?」

いきなり涙ぐんだ私に驚いて人が行き交う廊下から離れて人気の無い非常階段に私を連れてってくれた明莉に私は抱き着いた。

< 150 / 325 >

この作品をシェア

pagetop