悔しいけど好き
「明莉、ありがとう!明莉が鷹臣に知らせてくれなかったら、私ずっと鷹臣の話も聞かずに誤解したままだったと思う。鷹臣と上手く行ったのも明莉のお蔭だよ」

「ああ、なんだ~びっくりした!また神城くんと何かあったのかと思った」

涙を溢して抱き着く私を明莉はよしよしと背中を摩り宥めてくれる。
電話では鷹臣の事ちゃんと言ってお礼を言ったけど、会うとまた感謝と嬉しさが込み上げて明莉に抱き着いてしまった。

「私ほんとに神城くんに今までの鬱憤ぶちまけただけだから!でも、凪、良かったね?」

「うん、ありがと」

クスクス笑う明莉に釣られて私もくすっと笑う。
私を想ってのことなのでぶちまけられた鷹臣も肝に銘じると反省しきりだった。
意固地な私は真実を知らずに鷹臣の話を受けつけることは無かったと思う。
だから、ホントに明莉には感謝しかない。
優しい親友を持てて私は幸せ者だ。

「落ち着いた?ご飯食べ行こ?お腹空いちゃった」

「あ、うん。ごめんね?お礼に今日は私がおごってあげる」

「え?いいの~?」

「もちろん!」

涙が乾いた私は勢いよく頷いて二人で何食べる?なんて言いながら階段を降りて行く。
上から人影がこちらを見ていたことは気付かなかった。

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