悔しいけど好き
「今度、なんかおごってもらいますよ?山本さん?」

鷹臣に言われて「わ、わかった」と言う山本さんは冷や汗をかいてヒクついている。
鷹臣を見るとニヤリと笑っていて私もたらりと汗が流れてく気がした。
こういう時の鷹臣は悪魔的に恐ろしい。
あ、部長もね?としっかり部長にもにっこり言っている。
再度謝った3人はすごすごと引き上げていった。



「もう!なんなの?いちゃつくとかするわけないじゃん!」

さすがに先輩である3人に悪態はつけないから去った後で本心が出る。
ドアにもたれ掛かり見送っていた鷹臣が私の顔を覗き混んできた。

「真っ赤になっちゃって、かーわいー」

「ちょっと、ふざけないで!」

ムッとして睨めばクスクス可笑しそうに笑う鷹臣。

「そんな顔見たらキスしたくなっちゃうじゃん?」

「なっ…なにいってんのよ!」

思わず口元を隠して後退る。
鷹臣はやると言ったらほんとにやりそうで身の危険を感じる。

「ばーか、しねーよ。仕事とプライベートは分けるんだろ?職場でいちゃつくようなことはしないから安心しろ」

クスクス笑う鷹臣にふっと力が抜ける。
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