悔しいけど好き
頭を抱えてしまう私をケラケラ笑う明莉は絶対酔ってる!
あれから荒川さんに謝りたいと言っても鷹臣にダメだと止められて謝れてないし、山本さん達に覗かれてから二人では入ってはいないものの今日も資料室に行ってしまった。

「大したこと無いって、普通だよ普通。凪が意識しすぎなの。あんた達お似合いカップルだから見せ付けてあげればいいじゃない?ぶふっ…」

おもしろがって吹き出す明莉が憎らしい、もう恥ずかしい!

「面白がらないでよ~。私の努力が台無しじゃない!」

「あっははっ!凪は真面目ちゃんだからねえ。有名と言ったって極一部の好き者だから気になさんなって!」

「気にするでしょ!ああ、もう二度とあの資料室に入れない~」

嘆いてる私の頭をポンポンと撫でた明莉は、まあ、飲みなさいよとグラスを持たせ、私は残り半分のお酒を一気に飲んだ。

「プハっ」

「おお、いい飲みっぷり!」

「飲まずにいられない~!おかわり!」

ただニヤニヤしてる明莉にムッとしてやけ酒に走る私を面白そうに見て呟いた言葉は私の耳には入らなかった。

「有名にしてるのはあんたの旦那だけどねえ~」

「なんかいった~?」

「何でもなーい」

凪を取られまいとする奴が噂の根源だってことは面白いから凪には話さないでおこう。
愛されちゃってるわね~凪、恥ずかしがっても幸せそうじゃない、良かったね。
凪を優しく見つめる明莉の想いは凪にはなかなか伝わらないのである。
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