悔しいけど好き

畑の景色や、仕事をしてるお父さんやお母さんの生き生きした顔。海里兄さんの荷物を持った逞しい姿、おばあちゃんの満面の笑顔。
もちろん鷹臣が畑仕事を手伝ってるシーンもある。
鷹臣の作業服姿は意外と気に入ってたからこの写真は永久保存版と言っていいほど気に入ってる。鷹臣には言わないけど。
そして湊斗に言われてぎこちない笑顔で写ってる私と鷹臣の写真。

私も懐かしくてほっこりすると次のページにひときわ大きく写った食卓を囲む写真が。
畑仕事の合間のお昼ご飯のシーンのようだ。

題名 ”家族” 祝!金賞受賞!

下に湊斗の字でそう書かれていたのを発見して思わず鷹臣と目を合わせた。
そう言えば写真コンクールがあると湊斗が言っていた。

「凄い、湊斗金賞とったんだ」

「俺も家族に入れてくれたんだな…嬉しいな」

その食卓には鷹臣もしっかり写っていてみんな屈託なく笑って凄く幸せそうなシーン。
鷹臣は嬉しそうにその写真を眺めていた。
もちろん私も入ってるのになんだか幸せを分けてくれるように思える写真で私も頬が緩む。
金賞を取ったのも頷けるいい写真だと思う。

こんなに写真上手になってたなんて。
後でとっちめてやると思ってたけど、仕方がない、受賞のお祝いにお小遣いでもあげようかと思っていたら鷹臣が次のページをめくろうとして私は慌てて止めた。

「もっもうないよ!終わり!」

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