悔しいけど好き
「え?なんで?」

慌ててめくるのを阻止しようとする私を鷹臣が訝しげに見て、私からひょいっと逃げて次のページをめくってしまった。

「あ!」

「あ…」

見られてしまった恥ずかしい写真!
やっぱり鷹臣に見せる前に抜き取っておくべきだった~~~!

「くくっ、なに?これを見られたくなかったの?ベストショットじゃん?俺はこの写真に金賞を贈りたい」

「う…もう!恥ずかしいじゃない!」

知らぬ間に撮られたその写真。
恥ずかしすぎる!
湊斗め!やっぱりお小遣いはあげない!とっちめてやる!

「そんな怒るなよ、この意表を突かれた凪の顔はなかなかいい写真じゃないか」

「信じらんない!どこがいい写真よ!」

まあまあと宥められ後ろから抱きしめられる。
写真を見せられて鷹臣の吐息が耳に触れた。

「ちょっとほっぺがピンク色のとこが可愛いじゃん。キスシーンなんて湊斗もなかなかセンスあるな」

「どこがよ、ただの隠し撮りじゃない」

そう、その写真は私と鷹臣が手を繋ぎ不意打ちで鷹臣にキスされた一瞬を捉えた決定的瞬間。

湊斗は私達に声を掛ける前にその写真を撮ったらしい。
弟にキスシーンを見られたと思うと恥ずかしすぎて見ていられない!
ぶれることなくきれいに映ったその写真が目の前に晒されてるのを見たくなくて横を向く。

< 290 / 325 >

この作品をシェア

pagetop