悔しいけど好き

いやいや絶対!湊斗になんか可愛い美波をやるわけにはいかない!

「じゃあ俺がもらうまで美人で素直で優しい子に育ててねお義父さん!」

話を聞かない湊斗は血相変える俺を笑ってふざけたことを言う。
湊斗の父になる気はないぞ俺は!

「あ、くれぐれも姉ちゃんみたいな怒りんぼにはしないでよ?」

「湊斗!」

そんなことを言い捨てて大笑いしながら湊斗は居間を出ていった。

大体凪は素直で優しくて可愛い子だ。
美波には凪みたいに育って欲しいと密かに思ってる。
弟のくせに湊斗は凪の良いところがわかってない。

隣で見ていたおばあちゃんはフォッフォと笑っている。
困った俺は美波を見つめ言い聞かせた。

「美波、湊斗だけは好きになるなよ?」

何を言われてるかわからない美波はニコニコと俺を見つめる。
湊斗にしてやられるのは父親の俺かもしれない。
凪を盗られ、美波まで奪われたら俺はどうしたらいいんだ!

「どうした?周」

戻ってきた海里は険しくなってた俺の顔を見てきょとんとした顔をしている。
その顔が湊斗にも凪にも似ていてついムッと睨んでしまっていた。

「君たち兄弟には振り回されてばっかりだ」

憤然としている俺の横に座った海里はニヤリと笑うと俺の首に腕をかけ美波を覗き込む。

「おうおう、珍しくご立腹で。そんな文句言ったって腐れ縁は切れないぞ?なあ美波~」

既に手懐けられてる美波は喜んできゃきゃと声を出して笑ってる。

わかってるさ。
俺はこの兄弟が大好きで美波もきっと好きになる。
親子2代で惹き付けてやまない羽柴家に俺はこれからも振り回されてしまうのだろう。
諦めのため息をついてつい笑ってしまう。


だけど…、

美波は絶対やらないぞ!


一人心に誓う俺だった。



FIN
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