悔しいけど好き
その呼び方に一瞬ドキリとして振り向くとそこにいたのは湊斗だった。
湊斗も凪と同じ呼び方だったとざわざわする胸を撫で落ち着けと言い聞かせる。

「お、美波も来てたのかあ、美波おばあちゃんこっち向いて」

相変わらずカメラを持ち歩いてる湊斗がおばあちゃんと美波を写真に納めた。

既に美波を被写体に何万枚と写真を撮られ湊斗のお陰で我が家のアルバムは一杯だ。


「今日、姉ちゃん入籍したんだ」

「……ああ、知ってる」

おばあちゃんと俺の間に座った湊斗に言われ無意識にスマホを触る。

……

海里の家に入る前、震えるスマホに気付いて見れば凪からで、

ー[神城凪になりました]

と一言、メッセージが届いていた。
俺は一つ大きなため息をついて返信せずに呼び鈴を鳴らした。

……

「周くん、これで諦め付くんじゃない?不毛な気持ちは捨ててしまえばいいんだよ」

「え…?」

俺の気持ちの何を知っているというのか?
湊斗を見ればにこりと笑い何もかも見透かすような目で俺を見ていた。
やはりこいつも海里の弟、侮れない。

「代わりに俺が美波をもらってやるから、結局将来周くんとは親戚になるな」

「はあ?」

「美波絶対美人になるから楽しみだな」

おばあちゃんから美波を受け取った湊斗はうっしっしと悪い顔で美波をあやしてる。

……ように見えた俺は慌てて美波を奪い返した。

「なに冗談いってんだ湊斗は!おまえになんて美波は絶対やらないぞ!」

大体、湊斗と美波は15歳の年の差がある。
そんな奴に嫁がせるわけがない。


………でも待てよ?


美波が二十歳のとき湊斗は35歳…
む……今の時代あり得なくもない…。

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