悔しいけど好き
雑念を追い払うように頭からシャワーを浴びて無心になろうとしても全然出来ない。

湯船に浸かってぼーっとしてても考えてしまうのは、
何で私は奴を簡単に家に上げてしまったのか?

この間は意識朦朧としてたからしょうがないとして、何で今日は家に連れてきてしまったんだろう?
普通嫌いな奴なら何がなんでも家になんて上げたくない。
でも、私はあいつが嫌いなのに何で?

「・・・」

いや、あいつがどんどん自分を追い詰めていって私みたいに死にそうな顔してるからほっとけなかった。
終業時間過ぎた会社で込み入った話を長々してもしょうがないし、近くの店に行くより家に来た方が近かった。
そう、家が近かった。
その方が話しやすいと思ったし、何にも考えてなかった。

悶々と考えを巡らせてる内にどんどん体は湯船に沈んでいく。
ぶくぶくぶくぶく・・・・

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