悔しいけど好き
「あ、うん。二人の様子が気になって…ごめんね?話の内容は聞こえなかったんだけど、喧嘩してるみたいだから間に入ろうかどうしようか迷ってたんだ…」

あ、変な風には捉えてなかったみたい。ちょっとほっとした。
でも先輩に心配させちゃって申し訳ない。

「あ、それは…」

「あ~それはこいつがあんまり聞き分けないんで説教してたんですよ。っとに、じゃ、羽柴しっかりやれよ」

「ちょ!ちょっと!」

あいつは私の言葉を遮り自分の都合のいいことを言ってさっさと行ってしまった。
苦虫を噛み潰す私を労わるように美玖さんが肩に手を置く。

「アシスタントは営業を支える仕事だから、神城くんの事よろしくね?」

「はあ…」

優しい美玖さん。
奴の我が儘聞くのもアシスタントの仕事ですか…?
と聞きたいのを我慢して曖昧な返事をした。


< 54 / 325 >

この作品をシェア

pagetop