悔しいけど好き
重い足取りで家に帰りドアを閉めた途端にドサッと倒れ込むように両手を着いた。
真っ暗な室内に座り込んで動けない。
ビールパーティーの余韻なんてどっかへ吹き飛んでしまった。
酔いもさめてただ脱力感が体を襲う。


「はああ~~…」


ピンポーン…

深くため息を付いたとき、チャイムが鳴ってドキッと心臓が飛び上る。

ピンポーン


ま…まさか、あいつが来るわけないよね…。

ピンポーン

「おーいいないのか―?まだ会社か?チッ、やっぱ合鍵作っとくんだったな…」


な、何言ってんの?
何で奴がここにいるの!?

ぶるぶると今度はスマホが振動し始めて慌てて鞄から取り出して停止ボタンを押す。
よ、良かった、バイブにしといて。
音が鳴ってたら居ることばれちゃう。

「ちっ、凪の奴、電話に出ないってどうゆうことだよ!」

え、え?だから何で電話までしてくるの!?
トスッとドアから音がして奴がドアに背を預けたらしい。
もしかして居座る気!?
するとまたスマホが振動する。

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