悔しいけど好き
「…っ!くそっ!それは誤解だ!」
奴との距離は直ぐに縮まりまた手首を掴まれる。
こんなにイライラしてる奴を見たことがない。
焦燥に駆られてるような奴の力に抗えるわけもなくブンブン振り回してるのに今度は振りほどけない。
痛いくらいに手首を握られて涙が浮かぶ。
「やだ!離してよ!」
「俺の話を聞け!」
「やだ!」
駅の真ん前。
田舎とは言え人々が往来する中、派手に言い争う男女に「痴話喧嘩?」「彼女可哀想」なんてひそひそと話し合う野次馬。
それは怒りで興奮してる耳にも届いてきた。
「ああ!もう!こっち来いよ!」
「やっ……!」
さすがにここではまずいと思ったのか奴は私を引きずるように引っ張り私は抵抗しようとしたけど、ちらっと駅員さんが私達を気にしてるのが見えて大事になるのは私も困ると黙って付いて行くことにした。
駅の裏はすぐ海で砂浜が広がっている。
キョロキョロと見回した奴は線路を渡り少し行ったところに物置小屋みたいのを見つけ小走りに走ってその裏手に行った。
近くにも人気はなく私はここで思いっきり手を振り回した。
「もう!離してよ!」
「話が終わったらな!」
「話なんて無い!」