悔しいけど好き
「いえ、凪は少し体調を崩して今は営業から離れてるだけです。体力勝負なとこありますから」

鷹臣が真面目な顔してフォローしてくれてちょっと感動。つい奴の横顔を見とれてしまった。

「あら、そうなの?凪大丈夫?あなた何にも言ってくれてないじゃない」

「あ、うん、今は大丈夫。正直自分じゃ全然自覚してなかったのよね」

「周りが止めないといつまでも仕事してるワーカーホリックだったもんな?」

ニヤリと笑う鷹臣をじろりと睨む。
余計な心配させたくないのに!前言撤回、感動して損した。
案の定、お母さんはまあ!と心配そうな顔を向ける。

「ああ、凪はひとつのことにのめり込むとこあるよな?」

周くんが納得したように頷いている。

「お、さすが周、兄の俺より凪のことわかってるな?」

海里兄さんが周くんの首を羽交い締めにして周くんも止めろよと言いながら笑っている。
何か学生時代を思い出して懐かしくなった。

二人を見てるとむにっと脇腹を摘ままれひゃっ!と声を出しそうになるのを慌てて口を押さえ阻止した。

「何すんのよ鷹臣!」

小声で文句を言うと、不機嫌極まりない顔を一瞬したと思ったらにっこり笑う鷹臣にぞわっと背筋に冷気が走った。

目が笑ってませんよ鷹臣さん…。

「凪、随分仲が良いな?」

「ああ、うん。海里兄さんと小学校の時からの幼馴染で私も一緒に遊んでもらってたから。第二のお兄ちゃんみたいな人なの」

「ふ~ん」

訝しげに目を細め見てくる鷹臣に苦笑いをこぼす。
もしかしてさっきから、嫉妬…してる?

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