婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

私は…大ケガはなかったもの、三日ほど意識不明だったという。



実は、何があったか…覚えてないのだ。

人型の魔族が隙を突いてお父様に斬り込んでいったところで、記憶がない。

気が付いたら、布団の中で。

その傍で、おかあさまはわんわんと泣いていた。

…恐らく、すぐにやられてしまったのだろう。



お父様が亡くなった直後から、元々病弱だったおかあさまも一気に体調を崩してしまう。

その更に数ヶ月後、お父様の後を追うようにおかあさまも亡くなってしまった。



はっきり言って、あまり良い思い出のある場所ではない。

それよりも『魔の森』は常に魔力が漂っていて、危険な場所だ。

『避けて通れ』という助言は間違いない。

だいぶ遠回りになるけど。





「おーっ!街だ!街!…見えてきたー!」



畑や水田続きだった風景の奥に、家屋が少しずつ現れる。

石造りの街並みが見えてきた時、豹牙は興奮気味に声をあげた。

とうとう到着。『葉玖』の町。

金剛鬼宮のある王都に比べたら、規模も小さく田舎の街並みだが、我が王領を象徴するような農業の他、お兄様の大好きなお肉、畜産も盛んな町だ。
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