婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

そして、私の姿を見ると、まるであり得ないものを見たかのような驚愕の表情を見せるのだった。



「なっ…何故貴女がここに!…『羅沙様がズタボロで異臭を放って馬に乗って帰ってきた』っていうから、門番のふざけた悪戯かと思っていたら!」

「凪様!我々はそんな悪戯などしませんよ!日々真剣に職務を全うしてますって!心外です!」

「この間、王の蝋人形作って門の前に置いといたのは誰ですか!王の人形、気持ち悪い!…うっ!本当に臭いですね!」

私の臭いを嗅いで顔をしかめている凪の横では、門番さんが必死に訴えている。



あぁ、このくだらないやり取り。懐かしい。

本当に帰ってきたんだなぁ…。



そう思うと、じわっと目頭が熱くなる。



「…と、取り敢えず羅沙様、中へ!事情はしっかり湯浴みした後で!…じゃないと、そんな異臭を放っては話も聞けませんっ!」

「な、凪…」

「ど、どうしました?」

「凪にお土産買うの忘れた…腹帯…」

「は?腹巻き?!」



その言葉を最後に、意識がプツリと途切れる。

体の力が一気に抜けて、ズルッと馬から落ちてしまった。



「羅沙様?!…あぁっ!羅沙様!」



凪…お土産買えなくてごめん。





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