恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「わたし生きてる?」

「よかった。杏。気がついたんだな。」

ほんとに嬉しそうにわたしを見る碧斗の顔を見たら涙があふれてきた。

「え?杏…どうした?どこが痛い?」

うろたえながら碧斗は立ち上がった。

「とりあえずナースコールだな。」

枕元のボタンを押し、気がついたのだとナースにつげる碧斗。

それでも次々と涙が溢れ出るわたしを見て碧斗はどうしたらいいかわからないみたいだ。

「杏?ほんとに大丈夫なのか?そんなに泣くなんて…どっかやっぱり打ったんじゃねーのか?」

ちがうの。碧斗…。

わたし…もう死んじゃうと思ったから…

そしたら…
碧斗に会えなくなるって思って…

けど、碧斗に今会えたことが…嬉しいんだよ…

「碧斗…会えて…よかった。」

「え?」

「死んだら…もう…碧斗と会えなくなるから…」

「杏?俺に会いたかったってことか?」

碧斗がストンとまた椅子に腰を下ろした。

よく見ると、ちゃちなパイプ椅子…
こんなとこで座って寝てたなんて…

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