恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「碧斗…こんな硬い椅子で、眠ってたの?今…っていつ?」

「あー。杏が事故に遭った次の日の朝だな。」

そう…なんだ。
わたし…どうなったんだろう?

体に痛みは感じない。
どこか怪我でもしてるんだろうか?

と。お医者さんと看護師さんがガラッと扉を開けて入ってきた。

「あ、恵美子おばさん。」

「杏ちゃん…よかった。」

おばさんがギュッとわたしの手を握ってくれる。

「さて。ちょっと見せてもらうよ。」

お医者さんがわたしの手首をとって脈を測り出した。

「碧斗!向こう向いてなさい!杏ちゃん診察するから。」

「え?あ…おう…」

碧斗がカーテンを開けて外に出た。

お医者さんはお腹に聴診器をあてて何かを見ていたし、血圧と熱を測られて、そのあと、わたしをベッドの上に座らせ、手をあげたり首を捻ったりする様にいわれた。

若干痛みを伴う箇所があったけど、そんなにたいしたことはなさそうだ。

ただ問題はそのあとだった。

立ってみるように言われ、ベッドの横の床に足を下ろしたとたん、左足首にピキッとした痛みが走った。

「っつ…痛い…です。」

「やはり…」

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