恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ！

「特進の仲上のこと言ってんの？」

「うん。」

「あれはさ。わたしが思うに…仲上の片想いだよ。」

「けど…碧斗は…今までみたいじゃないの。」

「って？」

「なんか。心許してる感じで…楽しそうっていうか。今までの彼女はそんなかんじじゃなかったんだけど…わたしの前では見せてくれない顔を見せてる気が…」

「あのさぁ。杏。」

「ん？」

まゆりの口調がきつくなる。

「今の杏の発言からすると…高崎を好きだって認めたってこと？」

「え？」

「だってそうじゃん。好きだから仲上の登場で焦ってんでしょ？いい加減認めなよ。あんたにとって高崎は…」

「うん。そう。好きだよ。」

言ってしまった。
言葉に…してしまった。
そう…ずっと仲上さんの登場からわたしの心は揺さぶられ続けて…こんなに鈍感なわたしでもいい加減気づく…。

わたしは碧斗が好きだ。

かけがいえのない…幼馴染なだけだと思ってた碧斗。

けど…碧斗が好き。
誰にもとられたくない。
わたしのものだった碧斗…。
下僕のときも…わたしのそばに碧斗はいてくれた。

けど今…碧斗の心が…わたしから離れていきそうな気がして…怖い。