恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「た、高崎(たかさき)くんっ!」

焦った女子たちの声。

その力強い腕の主が発した声は、よく知っている声で…

いつも毎日、毎朝、毎晩聞いてる声で…

きっと助けに来てくれたんだと思った。


けれど…
次の瞬間、その声の主から放たれた言葉にわたしは耳を疑うことになる。

「こいつは俺の下僕(しもべ)なんだからさ。こいつになんかするときは俺の許可取ってもらわねーと。」


え?

「し…(しもべ)?!」

わたしをいじめていた女子たちは顔を見合わせて、素っ頓狂な声を出した。

「そうだよ。コイツは俺の下僕。俺の言うことなら何でも聞くし、俺のかわりになんでもやってくれるし重宝してんだよね。
だから、俺の許可なしに勝手なことされてケガでもされたら、俺のかわりに何もできなくなるから困んだよ。おまえらわかった?」

「し、下僕ってことならね…」

「そ、そうそう。」

いじめていた女子たちは納得したというふうに目配せしている。
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