恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
助けてくれたのかな?
うん。きっとそうだ…。

けれど…その端正な顔立ちをニヤリとゆがめると声の主はわたしを見下ろして言った。

「さてと。帰るぞ。」

「え?」

ドサリとランドセルがわたしの腕にかけられる。

「な…なに?」

「下僕だろ?持てよ。」

そしてスタスタと階段に向かって歩き出す。

「ちょっ…!」

あわててランドセルを持ちあげて追う。

「明日から毎日俺の荷物持ちな。あと、夏休みなったら、毎日昼ごはん作って届けろよ。」

「待ってよ!」

あわてて追いつこうと必死で走る。
そして、やっと追いついたわたしに声の主は言った。

「待ってなんて100年早いんだよ。おまえが追い付け。下僕なんだからよ。」

そしてグイっとわたしの胸倉をつかんで言い放った。

「せいぜいこきつかってやるよ。(あん)。」


その日から…

わたしはこの男に下僕のようにこきつかわれる羽目になる。

わたしの下僕生活が…はじまったのだ。


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