番外編 冷徹皇太子の愛され妃
エピソード3
エピソード3


夜明け前に、ウォルフレッドはふと目が覚めた。

耳をすませたが、窓を叩きつけるような水音は聞こえてこない。

夜中まで続いていた雷雨は、どうやらおさまったようだ。



ウォルフレッドは自分の胸にすがりつくようにして寝息を立てているフィラーナの身体を、そっと抱き寄せた。

(落ち着いているようだな)

ホッと息をつく。




結婚、夫婦として共に過ごすようになってから、わかったことがある。

一見、恐れるものなど無さそうなフィラーナが唯一苦手とするもの。それは、雷だ。

雷鳴が響くと、表面上は平静を装っているが、よくよく見れば身体が微かに震えていることがある。

特に夜や夕方など、暗い中での雷には異常に反応し、子供のようにウォルフレッドにぴったりとすがってくる。たぶん、無意識のうちに。



苦手な原因はなんだ、などと、ウォルフレッドは決して尋ねない。

聞かなくても知っている。おそらく雷が鳴る度に、フィラーナの脳裏には、子供の頃の『あの日』の記憶が鮮明によみがえるのだ。兄が事故に遭った、あの日に。


昨晩もフィラーナは、震えていた。

ウォルフレッドは、優しく抱きしめ、『大丈夫だ』と何度も囁いた。

やがてフィラーナは安心したように眠りについた。


ウォルフレッドは、フィラーナの額に優しくキスを落とす。



この世の何からも、絶対にお前を守ってやる。

だから、安心して俺に全てを委ねてくれ。


さらにフィラーナの華奢な身体を抱きしめて、ウォルフレッドは誓うのだった。



番外編【完】


お読みくださり、ありがとうございました!

葉崎あかり
< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:202

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍

総文字数/120,347

ファンタジー169ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
メイプルノベルズ様より、タイトル改め 『没落令嬢は騎士団長の最愛花嫁となる  大事にされたら眠っていた能力が目覚めました!?』 電子書籍化されました! (こちらは改稿前となります。ご了承ください) 結婚には縁がないと思い 侍女として生きることを決めた 没落令嬢に求婚したのは 地位も容姿も兼ね備えた騎士団長で――? うまくいくはずがないと思っても 歩み寄れば何とか前に進める……? そして、なぜか、失ったはずの能力が再び 目覚め始めて── 互いに想い、すれ違い、支え合う ふたりの物語 #「小説家になろう」にも掲載しています。
冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
  • 書籍化作品
[原題]氷の王太子はお飾り妃に愛を誓う

総文字数/143,784

ファンタジー211ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
侯爵令嬢フィラーナは 年頃になっても結婚に興味が無い。 一生独り身で結構、大切な家族を守りたいだけーー しかし、何の運命のいたずらか、“冷淡”と噂される王太子の花嫁候補のひとりに選ばれ……!? 「私に妃は必要ない。お飾り妃という無意味な地位に見苦しくもしがみつきたい者は残るがいい。しかし、王宮に留まり無駄な時間を過ごすくらいなら一日も早く帰って別の相手を探せ」 そう言ってのけた初対面の王太子は 噂通り冷たい印象。 (うん、やっぱりね。あれ? この人って……) *** 型にはまらない侯爵令嬢 × 氷の王太子 でも、その本心は……? *** 「俺の心も身体もすべて、お前だけのものだ」 不器用同士が織り成す王宮恋物語 ☆レビューありがとうございます☆ ユオルさま ※番外編もよければお立ち寄りください。
表紙を見る 表紙を閉じる
マイナスのイメージしか持たれていない。 ……はずなのに、急接近してくる人がいます。 「……これって、何かの罠ですか?」 「お前にそんなことして、何が楽しいんだ」 「それか、もしかして、結婚詐欺……」 「……お前な」 ☆☆ 残念なOL 木谷 詩織(きたに しおり)27歳 大手総合食品商社 営業部主任 宮坂 透也(みやさか とうや)29歳 「お前の全部が欲しいんだ」 「……女の趣味、悪っ……」 「自分の価値を下げるような発言ヤメロ」 どう考えても、私はあなたの対象外のはずですが。 ☆☆ 「甘え方が分からないなら、 俺がたっぷり教えてやるよ」 ……この人からの溺愛は、 心臓に悪いということを知りました…… 凸凹な二人の恋の行方は?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop