大好きな旦那様と離婚に向けて頑張ってます?!【完】
 ダメダメダメ!涼の言うことを深く考えすぎちゃダメ!

 内心首を横に大きく振り、気を取り直す。

 そうだわ。涼ってば悪そうな顔をしてたし、きっと私の地を這うような恋愛経験値をからかってたに決まってる。

 第一、どうやって今まで何年も友人のような距離を保ってきた男に、物理的距離を縮めて誘惑出来るかが全く分からなかった。

 引かれたらどうする?

 その時は、絶対に立ち直れない自信しかない……。

 でも、誰にも悠真を取られたくも無いし……。

 完全に矛盾している気持ちにまだ折り合いがつかなかった。


「なんか、はやく出来ちゃった……」


 涼の言葉を考え込んでしまって、意外と時間が経つのが速いように感じた。時計は9時過ぎを指している。1時間も考えていたらしい。テレビの音すら聞こえないくらいだった。


 ――「ぶっちゃけ、一度寝たら男って嫌でも意識しちゃうんだよねえ。女だ、ってさあ。いや、最初から分かってるんだけど、恋愛対象外が一気に対象内に入ってくる感覚」


 軽い調子で誘惑してくる涼がいる。全て、今日聞いた内容だった。どんな恋愛遍歴を送ってきたのか、何となく分かってしまいそうなアドバイスだったけれど、同じ男目線は貴重だった。
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