エリート弁護士は独占愛を刻み込む
その話題を振ると、彼はホッとした様子で言った。
「来年の二月です」
二月なんてすぐだな。
都内のホテルはお金がかかるし、医大生には負担がかかる。
「ホテル決まってないなら、うちに泊まれば?」
気軽にそう返したら、彼は躊躇った。
「え?でも……迷惑じゃあ」
「家が賑やかになっていいよ。君も葵の様子がわかっていいだろ?」
「……はい。ありがとうございます。葵のことは両親に俺から伝えておきます。弁護士の彼氏のところに転職したけど、そのまま永久就職しそうだって」
ニヤリとする彼。
そう伝えていいんですよね?とその目は言っている。
俺を試しているつもりなのだろうが、俺にはむしろ好都合。
彼を真っすぐに見て、笑みを深めた。
「頼むよ。俺も葵を連れてご両親にそのうち挨拶に行くから」
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