歌舞伎町ボーイズ
 考えている以上に。


 それにこれまでだって、苦しい時は彼女が助けてくれた。


 そうやって生きてきたのである。


 俺たちにはまだ、先がある。


 いいじゃないか?


 目先の苦しみなど。


 前途に幸福があると思えば。


 午後8時37分。
 

 互いに食べ終えて、箸を置く。


 彼女が、


「ケン、後片付けしたら、テレビでも見る?」


 と言ってきた。


「いや、俺あんま興味ないんだよな、そういうの」
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