Dangerous boy
遂に登り切った私は、お店のドアを開く。

約束の8時は、10分程過ぎていた。

「いらっしゃいませ。」

オーナーらしき人が、私を出迎えてくれる。

「あの……」

「はい。」

その人はニコニコしながら、私の話を聞いてくれようとしている。


「尚……」

尚太君は?と聞こうとしたら、カウンターから尚太君の顔が、飛び出た。

「オーナー。その人、俺の客。」

「そうなのか?」

オーナーは、とても驚いた表情で、私をカウンターに案内してくれた。


「いらっしゃい。」

この前と同じように、尚太君がコースターを目の前に置いてくれる。

「遅くなってごめんね。」

「ううん。仕事だったんだろ?気にするなよ。」

尚太君は、遅れた事をフォローしてくれた。


「何飲むか、決まってる?」

急に尚太君に聞かれ、私は迷った。

「ああ、どうしようかな。」

「決まってないんだったら、カシスオレンジからでいい?」
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