Dangerous boy
そして週の真ん中。

私は、尚太君に何も言わずに、sunsetがあるビルを尋ねた。

どうしても、尚太君に教えたい事があったのだ。


あっ、でも。

今日お休みだったら、元も子もない。

私はしばらく悩んだ末に、スマートフォンを取り出した。


【今日、お店いる?】

そう入力して、送信しようとした時だ。

ごみ袋を持って、階段を降りてくる音がした。

まずい。

お店の人と思って、背中を向けた。

「あれ?心?」

尚太君の声に、私は急いで後ろを振り向く。

「尚太君。」

私は走って、尚太君の近くに寄った。


「えっ、今日来る日だった?」

「ううん。私が勝手に来たの。」

細かく頷くと、尚太君は”待ってて”と言って、ごみを捨てに行った。

帰って来た尚太君は、私の背中にさり気なく、手を当てる。

「おいで。席、用意するから。」

けれど私は、首を横に振った。

「尚太君に、伝えたい事があって。」
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