完璧美女の欠けてるパーツ

「何か心配事でも?」

「心配事というのか……ずーっと前からの悩みで。つまらない話ですね、忘れて下さい」

「あの、縁あって知り合えたので、僕でよかったら悩みに付き合いますよ。別の視点で見ると意外とすんなり解決できることもありますし」

「とんでもない悩みなので、誰にも言えません」
苦笑いする梨乃だけど、鈴木は真剣な顔でテーブルを挟み梨乃を見つめる。

「僕の口は堅いです。心配なら証書を作ってもいい。もし、よかったら話して下さい。でも嫌なら話さなくてもかまいません。無理強いはしないので……あっ、僕ごときが偉そうにすいません!」

なんだろう
暗がりの中でのキリスト像のような
鈴木の周りから柔らかい光が見えてきた。

「鈴木さんが協力してくれるなら、問題は解決できます」
静かに言うと鈴木は喜んだ。

「そうなんですか?それは良かった。何でもやります。力仕事でも税務問題でも」
力仕事
確かに力仕事だ。

「資産運用もできます。森田さん綺麗だから、ストーカー被害とかあれば一緒に警察に行きます」

「私を」

「はい」

「私を抱いて下さい」

勇気を出して言ってみると

鈴木はその場で固まってしまった。

< 18 / 80 >

この作品をシェア

pagetop