完璧美女の欠けてるパーツ

大人になった今なら少しわかる。
新しく若き父親は突然娘になった10歳の美少女の扱いに困っていた。
子供から大人になるお年頃。
下手にスキンシップをして梨乃のトラウマになっても困る。妻に変な目で見られても困る。真面目な彼は考えに考えすぎて、梨乃に触れなくなってしまった。
せいぜい頑張ってハイタッチ。
もっと頑張って家族で花火大会に出かけて、人混みの中で手を繋ぐくらい。でも人混みが終わるとパッと離されてしまうので梨乃は悲しかった。

嫌われているわけではないと理解はしていても、妹にはおんぶもだっこも時には肩車をして、たまに振り回しアトラクションの真似などするけれど、梨乃がワクワクしながら「私も」と甘えたら「お父さん疲れちゃって」と言って拒否されてしまう。
梨乃は考え抜いてボードゲームを買ってもらい、父親とボードゲームで遊ぶことにした、新しい父親は中学生の頃に将棋クラブに入っていたと聞いた時、梨乃はおこづかいを貯めて将棋盤と駒を買い新しい父親と楽しく将棋を指した。地味な遊びと母親に笑われたけど、一緒に過ごす時間が嬉しかった。

梨乃がテストでいい点数を取ると、新しい父親は「よく頑張ったね」と言い、梨乃の頭を撫でてくれた。梨乃はとってもそれが嬉しくて、めちゃめちゃ勉強をすると成績も上がり、小中高と常に成績は学年でトップクラスになってしまった。

だから梨乃は
賢く、美しく、優しい女の子に育ってしまい。
今以上に手を出しにくい存在になってしまった。
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