愛というもの~哀しみの中で~
「お待たせ~。」

元気良く由実ちゃんが部屋に戻ってきて慌てて涙を拭いた。
でも全然隠せてなくて由実ちゃんは困ったように笑って、私のそばに来ると横からそっと抱きしめてくれた。
由実ちゃんの温もりにふわっと包まれて私の心の蓋がずれちゃったように涙が溢れてきた。

「うぅ~、ふえぇ~。うっっ。」

「よしよし、一人でよく耐えたね。私がいるから今はいっぱい泣いていいんだよ。」

しばらくそのまま私は由実ちゃんの腕にすがり付いて泣いた。
その間ずっと「うん、うん、」って私の頭をなでてくれていた。
しばらく泣くと不思議と涙が止まった。昨日の夜は止まらなかったのに。

「ごめんね。こんなことに付き合わせて。でも由実ちゃんがいてくれたからなんとか息ができてる気がする。」

「はぁ、良かった。私ってよくおせっかいが過ぎるっていわれるからまた余計なことをしてるんじゃないかって心配してたの。」

「それ言った人は贅沢な人だね。」

「茉莉ちゃんはもっと人に甘えていいと思う。耐えられないこととかあったらすぐに電話していいんだから。飛んでいく。」

「うん、ありがとう。どうしていいのかわからなくて。覚悟してたことではあったんだけどこんなに早くその日がくるなんて思ってなくて…。油断してたの。本当は私の人生にこんな幸せあるはずないのに。うぅっ、大吾には、感、謝、しなくちゃ…いけないのにっ、うっっ…」
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