愛というもの~哀しみの中で~
「そんなことないよ。私、本当に大吾くんが茉莉ちゃんを裏切るようなことをしてたら殴ってやるっ!」

私を抱きしめてくれてる腕に力が入る。

「ねぇ茉莉ちゃん、大吾くんって本当にそんな人だったの?そんな覚悟をしないとダメなくらい信用できない人だった?浮気を当たり前にするような人だった?」

私は慌てて顔を上げて首を横に振る。

「違う、私がダメなの。満足させてあげられないから。大吾は私なんて不釣り合いな人の相手を優しくしてくれるような人なの。」

「まず、茉莉ちゃんはその自己評価の低さを思い直してほしい。そして、私の印象では大吾くんは茉莉ちゃんをすごく大事にしてるイメージなの。大吾くんをよく知ってる昌くんも言ってたから確かだと思う。」

確かに大吾は本当に大事にしてくれたと思う。
私は宙を見つめて大吾のことを考えていたら、由実ちゃんはキッチンへ行きココアを入れてくれた。

「どうだった?不誠実な大吾くんいた?」

私は由実ちゃんの顔を見て首を横に振ると、また涙が溢れてきた。

「お泊りしてて手を出さないくらい大切にしてて、やっとクリスマスにできたんでしょ?すぐに浮気に走っちゃうなら初めてのお泊りの時に無理やりでも自分のいいようにしてたと思うよ。だから大吾くんからきちんと聞くまでは決めつけなくてもいいと思うよ。」
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