愛というもの~哀しみの中で~
12
大吾と昌くんはミックスグリルなるものを頼んでいた。
写真を見ると、グリルチキンとハンバーグとながいウインナーが乗っていて、ポテトサラダまでついていた。それにご飯とスープも。
体のどこにそんなに入るんだろう?というか、いつもうちで食べていたご飯では足りていなかったんじゃないかな?
安心すると、もうそんな日常のことで悩んでいた。人っておもしろいなぁ。

「茉莉はご飯食べてなかったんだろ?体大丈夫?」

大吾は私の腰を抱くように背中に手を回してぴったりとくっついていて、心配そうに私の顔を見つめてくるけど、明らかに大吾の方が大丈夫じゃない顔をしていた。

「そんなことないよ。朝なんて由実ちゃんからフレンチトースト作ってもらっちゃった。初めて食べたけどすっごく美味しかったよ。」

私が笑顔で答えると斜め前で昌くんが「そんなんばっか食ってるから太るんじゃねぇの?」って由実ちゃんに言っており、また二人で口論になっていた。

「また茉莉の初めてを由実ちゃんに取られた…。俺も一緒に食べたかった。」

うなだれるように私の肩におでこを乗せた。

「作り方教えてもらったの。だから私が初めて作るフレンチトーストは大吾が食べてね。」

「うん。食う。」

それからすぐにご飯は運ばれてきた。喧嘩しながらも由実ちゃんと昌くんは仲良く、食べたいって言っていたグリルチキンを半分ももらっていて、お返しにチーズハンバーグを上げていた。
< 133 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop