愛というもの~哀しみの中で~
家に帰りつくと大吾だってきっと寝てないし、疲れているはずなのにお風呂掃除をしてお風呂を沸かしてくれた。
敷きっぱなしにして出たはずの布団はたたまれており、隅によけたテーブルの上に私の携帯が置かれていた。
炊いたままになっていた炊飯器の中のお米は一食ずつラップに丸めて冷凍されていた。
いつしたんだろう?ネックレスも持ってたし…。
聞くと、昨日の夜由実ちゃんの家から私の家に帰ってきていたみたいで朝までこの家で過ごしたらしい。
てっきり昌くんと家に帰っているのかと思っていた。心細い夜だっただろうなと思うと申し訳なくて心が痛かった。

先に入るように言われて入ったお風呂の中で冷静になって考えると緊張してきた。だって、『クリスマスに茉莉としてから俺、我慢出来なくなってきてて…』って言ってた。
それってそういうことをしたいってことだし、私もなんでキスだけなんだろうって不安になってたし…。あっ、でも明日はお弁当詰めのバイトだから朝早いし…。っていうかこんなことをお風呂で考えてる自分がいやらしくて恥ずかしくなった。
どんな顔して上がったらいいかわからずに何となくうつむき加減で出ていくと、お湯が冷めないうちにって大吾は急いでお風呂に入って行った。
一人でやらしくなっている自分が恥ずかしくてドライヤーを当てながら小さく悲鳴を上げた。
< 135 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop