愛というもの~哀しみの中で~
3月の半ばに大吾も昌くんも無事に専門学校を卒業して夜は仕事が終わると真っすぐ帰ってくる。
最近ではうちで由実ちゃんと夕飯の用意をして昌くんも一緒にご飯を食べて由実ちゃんと帰っていく。
私が里帰りするところがないから由実ちゃんが家事を手伝ってくれているけど、出産すると由実ちゃんは実家にひと月だけ里帰りするらしくて淋しくなるなぁ。

由実ちゃんの出産の報告は突然だった。
夜寝る前に徐々に始まった張りが本格的な陣痛になると出産までがすごく速かったみたいで、朝方の4時には産まれた。
朝起きるとメールと写真が送られてきててびっくりした。

会いにいくと3300グラム近くあった赤ちゃんは今の恭吾よりも小さくてやっぱり可愛かった。
名前は「由彰(よしあき)」と名付けたみたいだ。由実ちゃんの「由」に、昌くんの上2文字の「あき」をもらったらしい。
本当に由実ちゃんの執念で同級生になれた。これで何をするのも一緒だと思うとうれしかった。
家族だけじゃなく、本当に大切な人が増えていくのって幸せだ。

それからは本当によく一緒に過ごしたし、恭吾も由彰くんも一緒に遊ぶわけじゃないけど隣同士で別のおもちゃであそんだり、泣くときは一緒だったり、お昼寝も一緒にした。

恭吾が産まれてからはみるみる写真が増えていった。アルバムも何冊にもなった。少しずつできることが増えて、離乳食を食べ、簡単な言葉はおしゃべりできるようになった。
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