愛というもの~哀しみの中で~
その日は遅くまで義両親と真さんはうちにいて何かと私に食べ物を食べさせようとお義母さんは手料理を作ってくれた。
由実ちゃんのお母さんとは違った手料理だったけど、どちらの料理もすごく美味しかった。

「ありがとうございます。いつかお料理教えて下さい。恭吾には母の味をきちんと食べさせてあげたくて。」

「そう言えば茉莉さんのご両親は?お見かけしなかったけど…?」

きちんと私の話をする時間がなかったから…
どう思われるかな?やっぱり私なんかが大切な大吾をって思われるのかな?
私は自分の服の裾を握りしめていた。

「あ、あの…私、両親はいません。生まれてすぐに乳児院に預けられたそうで、中学卒業まで児童養護施設で育ちました…」

「…えっ?」

お義母さんは驚いて私を見る。
私はどんな顔をしていいかわからず俯くと、動悸がしはじめ、呼吸が速くなっていくのがわかった。
吸えなくて苦しくて手先が痺れてきた。

「母さん!…茉莉さん大丈夫?ゆっくり吸おう、とりあえず袋だけど…」

真さんが気づいてくれてスーパーの袋をとりあえず口元に軽く当ててくれた。
また過呼吸だ。
真さんは私の背中を撫でて自分の呼吸をゆっくりして、私に促す。
ちょうどその時、インターホンが鳴り由実ちゃんと昌くんが入ってきた。
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