愛というもの~哀しみの中で~
うとうとしていたみたいで大吾から名前を呼ばれているのかと思った。
夢だったんだ…
私は無言で真さんを見つめ続けた。
似ているようで似てなくて、似てないようでやっぱり似ている。

真さんは私の方に手を伸ばして、私の頬を拭った。いつの間にか涙が流れていたのだ。
いつになったら涙は出なくなるんだろう…
拭っても拭っても止まらないから真さんは私を優しく抱きしめた。
大吾の服を着てるから微かに大吾の匂いがした。でも私を抱きしめる腕や胸は細くて、やっぱり大吾とは違うと思いしらされる。

「ごめんなさい。」

「いいんだよ。泣いていいんだ。頼っていいんだ。俺も家族だから。」

家族……大吾が私にくれた家族…

「うっ…うぅっ、大吾に会いたい。」

「そうだな、会ったらまずは説教だな。こんな可愛い奥さんと子供を置いてどこに行ってるんだか…」

ずっと真さんは私を抱きしめて背中をさすってくれていた。

気が付くと私はベッドに横になって眠っていた。
起き上がってみると、私の隣に恭吾がいてその隣で真さんが寝ていた。
大吾がいた場所…

久しぶりに恭吾は夜泣きせずに朝まで眠っていた。
私はベッドから出ると洗面所で顔を洗った。
久しぶりに鏡で見た自分の顔はひどかった。
クマはすごくて、目の周りは窪んでてガイコツみたいだ。
そのくせまぶたは腫れて見れたものではなかった。
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