愛というもの~哀しみの中で~
そう言って部屋を見渡した。
私も初めてみる大吾の部屋を見渡した。いかにも男の子の部屋だった。
ここで大吾はどんなふうに過ごしていたのだろう。

真さんがクローゼットを開けるとすこし埃臭い匂いがした。
中から大吾が来ていたらしい制服を取り出して見せてくれた。
こんなのを大吾は来ていたんだ。私の知っている大吾では肩幅とか入らないだろうけど高校生のころはもっと細身だったのかもしれない。

机には使いかけのシャーペンなんかもそのまま置かれていた。
机の上に置いてあった勉強ノートを開くと見たことのある大吾の字が書かれていた。
私はその文字を指でなぞった。

「ほら、これ、たぶん大吾もあんまり見たことないと思う。」

と言って出してくれたのは高校の卒業アルバムだった。
真さんは大吾の載っているページを見せてくれた。
写っている大吾は私と出会った時よりも幼くて、痩せていた。
いかにもチャラチャラとしていてこちらに笑いかけていた。

私はだんだんと呼吸が速くなり、手がしびれ始めた。
過呼吸だ。真さんがうちにきてからも何度か過呼吸にはなっていてその度介抱してもらっていた。
真さんも私が過呼吸を起こしていると気づくと急いで1階へ行き、紙袋を取ってきてくれた。
それを口元に当てるとゆっくりとした呼吸を促すように隣で深呼吸をする。
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