愛というもの～哀しみの中で～
「だって、これ以上大下さんが嫌がることをしたくないのよ。それと、恭吾は渡さない。こんな私だけど私と大吾の子供だもの…何があっても誰にも渡さない。」

私は泣かないって宣言したばかりだったのに目に涙が込み上げてきて、必死で流れ出ないようにこらえた。

「茉莉さんを驚かせたこと本当にすまない。約束する、恭吾は絶対に茉莉さんから奪わない。」

そう言って真さんは玄関の中に入ってくると、抱っこしている恭吾も包み込むように私を抱きしめた。
恭吾は喜んでおり、真さんの首にしがみついていた。

「中に入ろう。由実がコーヒーいれてくれてるから。」

昌くんは足元で淋しそうにしていた由彰くんをヒョイって抱き上げるとリビングに入って行った。
私は真さんの腕を押しのけると、恭吾が真さんにしがみついているから少しよろける。
そんな私を見て真さんは笑っていた。

「茉莉さんは思った以上に強情だな。恭吾を抱っこさせてよ。ね、恭吾おいで。」

そういって恭吾を抱き上げた。
認めたくなかったけど最近真さんと大吾を混同している自分がいる。
声が似ているし、目元も似ている。もしかすると真さんに大吾を求めているのではと気づいて自分が怖かった。私には大吾しかいなくて、真さんには大下さんがいるのに…。
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