愛というもの~哀しみの中で~
真さんが恭吾を抱っこしてリビングに入っていき、その後ろからリビングに入った。
由実ちゃんがみんなの分のコーヒーを入れてくれていた。
真さんは昌美ちゃんに会うのは初めてだったみたいで、恭吾を抱っこしたまま昌美ちゃんのほっぺをつついていた。
昌くんと真さんも小さいころからの知り合いで、そんな昌くんがパパになるとはってうれしそうに由実ちゃんに話していた。

「私も、昌が結婚したり子供が欲しいって言い出すって思ってませんでした。」

「ハハハッ、確かにね。大吾の変わりようも随分驚いたけど、昌の変わりようもすごいもんな。」

隣で二人の会話が聞こえているだろうに、昌くんは気にすることなく由彰くんと積み木をして遊んでいた。
真さんがソファーに座ると自分も積み木をしたかったのか恭吾は膝から降り、積み木遊びに参加していた。
由実ちゃんは昌美ちゃんを真さんの所に連れていくと、嬉しそうに抱っこしていた。

私は一人、少し離れたところからその光景を見つめていた。
テレビのスクリーンを見ているような気分だった。幸せな休日の光景…。もう私に訪れることのない光景…。
大吾?どこに行ったの?聞いてほしいことが沢山あるの。悩みも沢山あるの。
真さんとお付き合いしている女性の名前が『大下透子』って言うんだって。
< 260 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop