愛というもの~哀しみの中で~
「きょうちゃんね、からあげと、たこやきと、おにぎり。」

「あら?お野菜は?」

そう聞くと顔をしかめて私にしがみついた。
都合が悪くなると私にしがみついて顔をうずめるのだ。そこは大吾の影響だった。

後から入って来た由実ちゃんたちがそんな私と恭吾のやり取りを驚いた顔をして見ていた。
家を出る前まであんなに元気がなかったから当然だ。
由実ちゃんは私に無言で抱きつくと、泣いていた。間に挟まれた恭吾が嫌がって暴れるから由実ちゃんは仕方なく私から離れた。

「恭吾まで連れて行ってくれてありがとう。さっき昌美ちゃんはミルク飲んだよ。真さんがね、大吾に張り合ってゲップさせてたのよ。」

笑って私が言うと、後ろで見ていた昌くんも笑っていた。

「大吾はゲップ担当だったからな。真さん
上手くできた?」

そう言いながら昌美ちゃんを抱っこした真さんのそばに行って楽しそうに話をしていた。
義両親も一緒に帰って来ており、昌美ちゃんを見て楽しそうに話をしていた。
それから由実ちゃんがみんなにコーヒーをいれてくれていた。私もコーヒーを受け取ると口に運んだ。

「あんなに頑なに何も口にしなかったのに。心配でたまらなかったのよ。何なら食べれそう?」

由実ちゃんは私の顔を見つめて聞いてくれる。
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