愛というもの~哀しみの中で~
「ごめん、早急すぎた。泣かないで。」

真さんは顔をあげると私の涙を拭ってくれ、抱きしめる。

「違うの。ごめんなさい。私ダメなの…」

「それはやっぱり大吾以外はダメってこと?」

体を離すと、私の顔を覗き込んだ。
私の目からは絶えず涙が流れ出ていて真さんの顔がしっかり見えない。

「わからない…でも…」

「無理はしなくていいよ。無理やりするつもりもないし、嫌ならもうしない。」

「その、言ってないことがあって…あの…私ね、大吾に会う前に会社の上司に…」

伝えようと思うのに、真さんに拒否されたらっていう恐怖心で言葉が出なかった。

「……それって、嫌がらせの域で?それとも最後まで?」

「うっ…あのっ、さいっご…まで…」

真さんの顔がみるみる歪んで眉間にしわがよる。

「ごめんなさい、私汚くて…ごめん…」

「茉莉さん…そんなことない。汚いのはその上司であって茉莉さんは汚くない。」

真さんは力いっぱいに私を抱きしめてくれるから、私も必死で真さんにしがみついた。

「ごめんなさい…私、怖いの。大吾…一人にしないで。」

「大丈夫。絶対に一人にしない。大丈夫。」

私は久しぶりに真さんの胸の中で泣き、疲れ果てて眠った。
朝目が覚めると真さんに抱きしめられたままお布団で眠っていた。
その姿を恭吾と由彰くんがじーっと横で見つめていた。
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