愛というもの~哀しみの中で~
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恭吾が年長さんの秋、幼稚園の一大イベントお泊り保育があった。
自然の中にある施設にお泊りに行き、みんなで山の中を散策したり、カレーを作ったりするらしくて恭吾はすごく楽しみにしていた。

「ヨッシーとおなじはんになった!」

って喜んでいた。あちらではすべて班行動らしく、絶対に一緒にしてって二人で先生にしつこくお願いしていたみたいだった。
恭吾と由彰くんは大吾と昌くんのように仲良しで、きっと大人になっても仲良しでいられるのかなぁ。今でも月に1回ずつお泊りし合っている。

お泊り保育は木曜日に出発して翌日金曜日のお昼過ぎに帰ってくる。
お見送りとお出迎えっていう保護者恒例の行事もあるからって真さんは2日間休みを取ってくれていた。
昌くんはどうしても木曜日は休めずに金曜日のお出迎えだけ顔を出すって言っており、由彰くんはすねていた。水曜日の夜から昌くんが出勤するまで由彰くんはべったりとくっついて離れなかったらしい。

「ママがいるのに。本当にパパっこなのよ。」

って由実ちゃんがぼやいていた。
大吾がいたらきっと大吾が恭吾にべったりだっただろうな。お泊りでいないなんて淋しすぎるって言っていたに違いない。由実ちゃんの家にお泊りも一緒について行っていたかも。
そんな想像をして一人泣きながら笑った。
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