愛というもの~哀しみの中で~
「母さんっ!泣きすぎ。卒業式じゃなくて入学式だろ!」

恭吾は少し困っててその顔がまた大吾とそっくり。

「うん、うん、ごめんね、あまりに恭吾がパパに似てたから、フフッ」

「確かに、どんな遺伝かアイツにまるでそっくりになってきたな。」

大吾、この場にあなたが居ないことが本当に残念でならない。
会いたいなぁ。私は今、幸せだよ。

恭吾が笑ってくれるその顔を見ると元気になる。
真さんのことも許してくれるかな?変わらず「それでいいんだよ。」って言ってくれる。

「俺もう行くから、まこちゃん、母さんのことよろしくっ。」

「ああ、また後でな。」

恭吾は走って学校に入って行った。

「すっかり一人前の面してるな。大吾が生きてたら喜んだだろうな。」

「うん、そうね。恭吾の成長を誰よりも楽しみにしていたもの。真さん、大吾の代わりに恭吾を見守ってくれてありがとうございます。きっと大吾も感謝してる。」

私は拭いても拭いても涙が止まらず真さんも困ったように笑って私を見てた。

「さぁ、入学式が始まってしまう。行こう。ビデオ撮らないと。」

「うん、こっそりビデオ撮ってるのバレたら怒られるかな?前はあんなに喜んで撮らせてくれたのに。これも成長の証しね。」

2人は顔を見合わせて笑った。
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